このアルバムの3つのポイント

マーラー交響曲第4番 リッカルド・シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1999年)
マーラー交響曲第4番 リッカルド・シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1999年)
  • マーラーの楽譜を正確に弾き分けたシャイー/コンセルトヘボウのすごさとデッカの優秀録音
  • ソプラノのバーバラ・ボニーのうまさ
  • 吉田秀和氏も絶賛

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団はグスタフ・マーラーが指揮台に立ったこともあるし、古くからマーラーの演奏を多数おこなっていて、近年でもベルナルト・ハイティンクやマリス・ヤンソンス、ダニエレ・ガッティもライヴで録音を残している。マーラーを語る上では一目置かれたオーケストラと、交響曲第1番〜第9番を録音したのが、当時の首席指揮者だったリッカルド・シャイー。惜しくも第10番だけはベルリン放送交響楽団との録音だが、それ以外の9曲をコンセルトヘボウ管と録音とは何とも贅沢だ。ただ、音楽雑誌の特集とかでマーラーの交響曲の名盤として全く触れられない。

確かに、シャイーはコンセルトヘボウ管の首席指揮者を退任してから、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団、そしてルツェルン祝祭管弦楽団と、ヨーロッパの主要オーケストラのポジションに就いてから一気に花開いた感じはするが、それでもこのコンセルトヘボウ管時代の録音が、まるで存在しないかのように取り上げられないのは何でだろう。私はずっと疑問に思っていた。

ただ、交響曲第4番の録音だけは、吉田秀和氏の「決定版マーラー」にも交響曲第4番のセッションでこの録音が紹介されている。

シャイーたちの演奏を聴きながら、私はまた自分がいかにマーラーについて知らないことがたくさんあるかに気づかされたのだが、この演奏はすごく精密な正確な出来栄えである。この曲には、拾い出せばきりがないほどの「細部の驚異的積み重ね」とでも言いたいようなものがある
吉田秀和, 「決定版マーラー」より「交響曲第4番」の一節

また、第4楽章でソプラノを務めたバーバラ・ボニーについても絶賛だ。

フィナーレに入って、初めて歌いだすソプラノのバーバラ・ボニーもすごくいい。
(中略)
本当に、このボニーという歌手は良い歌手である。歌がうまいというだけでなく、まさに「心のある」歌いぶりの人でもあるのだ。
(中略)
この歌を聴いていると、ボニーという人が良い声をもった、歌のうまい、豊かな歌心をもった人というだけでなく、知的な点でも普通の歌手の域をとび出した抜群の存在だということがわかる。
吉田秀和, 「決定版マーラー」より「交響曲第4番」の一節

この交響曲第4番の演奏だが、第1楽章の冒頭から注意して聴いて欲しい。シャンシャンシャンシャンというトナカイがソリを引くかのような音楽が、他の演奏とは全く違って聴こえるのだ。単調ではなく、強弱がはっきりついているのだ。マーラーの楽譜の指示記号を忠実に守っているそうだが、それを耳に届けるデッカレーベルの録音技術もすごいものだ。

東洋的な香りのする音楽だが、シャイーとコンセルトヘボウ管はそのイメージにとらわれないで、シンフォニックに演奏している。ただ、細部にこだわっているあまり、全体的な流れに違和感を感じるところもある。

第4楽章でバーバラ・ボニーのソプラノが入るが、これまでの世界を一変するかのように、雰囲気をガラッと変えてしまう歌声だ。うまいだけではなく、表現が実に豊か。そしてそれと合わせるオーケストラも緩急、強弱が抜群にうまい。さすがはコンセルトヘボウ管。

あまり話題にならないシャイーとコンセルトヘボウ管のマーラーの交響曲だが、この第4番だけでも聴いてみる価値はある。

オススメ度

評価 :4/5。

ソプラノ:バーバラ・ボニー
指揮:リッカルド・シャイー
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:1999年9月16, 20, 21, 24日, コンセルトヘボウ

【タワレコ】Mahler: Complete Symphonies No.1-No.10 (12CD)

iTunesで試聴可能。

特に無し。

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